令和6年度かながわ森のかけら製作現場の訪問記録

かながわ森のかけらとは?

神奈川県では、森林環境譲与税事業として、「ともに生きる」木づかい連携推進事業を行っています。

県内の障がい者福祉施設と連携して地域材を活用したノベルティを作成し、保育園や幼稚園、音楽教室等で配布するとともに県・市町村が行う環境関連イベントにて配布を行っています。

また、事業の内容をHPに掲載し、配布したノベルティの活用状況を投稿してもらうことを通じて、広く県民に森林の持つ公益的機能や県産木材の魅力をPRしています。

「公益的機能」とは、再生可能資源である木材を使用することで気候変動への対策になり、地球温暖化や土砂災害の防止につながり、森林のもたらす恩恵が私たちの暮らしに潤いを与えてくれるような、広くたくさんの人たちに利益となる機能のことを言います。

今回は、「かながわ森のカケラ」として人気のカスタネットに加えて要望の高かった鳴子を配布することになり、その製作現場を訪問させていただきました。

製作風景

2025年1月中旬、春が待ち遠しい季節。今回は、小田急線の新松田駅から徒歩で10分ほどの閑静な住宅街の一角にある「社会福祉法人足柄緑の会 コスモス学園・松田センター」を訪問し、鳴子の製作風景を見せていただきました。

作業所に着くと、ちょうど休憩時間だったため、和んでいる通所者の皆さんが笑顔でお出迎え。一緒に作業の部屋へと向かいました。

皆さんにごあいさつをさせていただき、早速、鳴子づくりの工程について説明をしていただきました。

鳴子は、その昔、畑の農作物を荒らす鳥などを追い払う仕掛けで、板に細い竹管を掛け、縄を引いて音を出したのが始まりだそうです。今ではよさこい祭りなどで踊りながら音を出す道具として老若男女問わず親しまれる楽器的な存在になっています。

明るく清潔な室内で、カットされ、滑らかな肌触りに加工された鳴子のパーツたちが作業台に並べられると、ヒノキの香りがフワーッと部屋中に漂います。この作業場で鳴子製作の最終仕上げを行っています。

作業は2つの工程で進められていて、初めに行うのは「しゃもじ」といわれる板に外側のパーツの位置決めと接着です。位置決めはとても気をつかう作業ですが、作業者さんは「難しいけれど楽しい」と手慣れた様子です。

次に、接着したパーツに「バチ」(音を鳴らす拍子木状のパーツ)をワイヤーに通して繋ぎ、接着して仕上げる作業です。こちらも手先の器用さが必要ですが、作業者さんはとても集中して作業をこなしています。

こうして息の合った手作業の連携で、美しいヒノキの材質を活かした鳴子が出来上がっていきます。

作業中も皆の気分をリラックスさせてくれているのは、室内に広がるヒノキの香りの効果かもしれませんね…と、職員の方が言われていたのがとても印象に残りました。

ヒノキの香りに包まれる製作所内

まとめ

細やかな作業をていねいに重ねて、私たちの元に届けられる「かながわ森のカケラ」は、森と私たちをつなげてくれる大切なメッセンジャーです。

私たちができること、それは神奈川県産材を使って暮らしを楽しく豊かにしていくこと。

これからも「かながわ森のカケラ」を手渡しながら、森林の保全と木材利用促進への理解を深めていきます。

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