木材を利用するメリットは?
森林は、二酸化炭素の吸収、水源のかん養、土砂災害の防止、木材・キノコ・山菜といった林産物の供給、保健休養の場の提供など、私たちにとって欠かせない大切な役割を果たしています。
このように、私たちの生活になくてはならない森林を健全な状態に育てていくためには、木材を積極的に使うことが重要です。
木材を利用することの重要性や利用することのメリットをご紹介します。
1.健全な森林育成
人工林では、植栽した木を間引きして密度を調整する「間伐(かんばつ)」といった手入れを行わないと、木立の間に日光が差し込まず下草が生えないなどにより土壌が失われたり、土砂崩れの原因となったりします。
また、適切な伐採が行われないと、新しい木が植えられず高齢の木々ばかりとなり二酸化炭素の吸収量が低下するなど、森林の持つ多面的機能の低下につながってしまいます。
そこで、森林(人工林)を元気にするため、「植林」→「育成(間伐などの手入れ)」→「(成長した木を)伐採」、そして「利用する」というサイクルを回していくことが重要です。
それによって、健全な森林の育成とともに住みやすい環境と資源を持続的に得ることができます。そのためには、人工林で育った木材を、私たちがもっと利用することが必要です。
2.住みやすい環境や資源を得ることにつながる
木材は、調湿効果や断熱効果、リラックス効果などを持つ優れた素材です。
●木材は、室内の湿度を一定程度に保つ働きがあります。
木材は室内の湿度が高くなると湿気を吸収し、低くなると放出して室内の湿度を一定に保とうとする働きがあります。
木材を利用することによって、室内の湿度変化を緩和し、快適性を高めることができます。
●木材は断熱効果が高く、外気温の影響を受けにくい
木材は鋼材やコンクリートと比べて、熱しにくく、冷めにくいという特徴があります。
これには熱伝導率が関係しています。
熱伝導率は密度と比例関係にあり、密度が高いものほど熱伝導率は高くなります。
木材は多数の穴が空いているという特性(多孔質)があります。この特徴が空気の層を作り、密度を下げ、熱伝導率を下げています。
これが高い断熱性を生み出し、室内は外気温の影響を受けにくくなります。
高い断熱性による保温効果は快適な住まいづくりにとって重要なポイントです。
●木材は人への生理的な効果があります
木材には、人のストレスを少なくする、疲れにくくなるなど、生理的な効果・身体的な効果があることが科学的に明らかになってきました。
【リラックス効果】
男性被験者に対し、20秒間の安静の後、90秒間スギチップの香りをかいでもらい、血圧を測定しました。
その結果、吸入開始後収縮期の血圧が低下し、開始後40~60秒で吸入前に比較して有意な低下を示しました。
スギの香りにより身体が「リラックス」したことをあらわしていると解釈されます。
【ストレス軽減効果】
学生16名に対し、スギの内装材を設置しない部屋と設置した部屋で30分の計算課題を実施し、唾液中のストレス指標となる物質(アミラーゼ)の活性化を測定しました。
その結果、設置しない部屋ではアミラーゼが上昇、設置した部屋ではアミラーゼが低下しました。
アミラーゼの低下は、計算課題によるストレスをスギ材から発揮された香りにより抑制されてものと解釈されます。
※参考資料:政府広報オンライン「木材を使用して、元気な森林を取り戻そう!」
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201310/3.html