地域内エコシステム推進事業・取組み紹介①

神奈川県松田町の取り組み

地域内エコシステムとは、木質バイオマスエネルギーの導入を通じた地域の人々が主体の地域活性化事業です。

地域内エコシステムについて一般社団法人日本森林技術協会、株式会社森のエネルギー研究所の資料より全5回シリーズでお伝えしております。

今回4回目からは、地域内エコシステムについて支援地域の取組みをご紹介していきます。

まず最初に、神奈川県松田町の取組みからご紹介します。

松田町の紹介

松田町は神奈川県の西部に位置し、北は丹沢大山国定公園・西丹沢山系に抱かれ、南は酒匂川流域の豊穣な足柄平野が広がります。

人口は10,552人(令和4(2022)年3月)、総面積3,775haのうち約76%を森林が占めています。

町北部の山間部には寄(やどりき)と呼ばれる地区、南部には比較的平坦な松田地区があり、古くから交通の要衝として栄えてきた町です。

地域内エコシステムの構築を目指す背景・目的

地域内の新たなエネルギー循環の構築を目的とし、令和2(2020)年度に導入した松田町健康福祉センターの薪ボイラーの本格稼働に向けて、住民参加の仕組みを含めた原木の供給および燃料製造体制の整備を行いました。

町の森林から搬出される間伐材等を木質バイオマスとして活用することで、森林保全や地域経済の活性化、二酸化炭素の排出量削減を図り、カーボンニュートラルの実現に向けた持続可能な事業モデルの確立を目指します。

また、自治体による薪ボイラー導入は、神奈川県内で初めての試みであり、松田町モデルとして、木質バイオマスのエネルギー利用を目指す周辺市町村との連携および波及効果にも期待しています。

サプライチェーンの現状・計画

主な取り組み内容等

目標

  • 薪ボイラーの安定稼働に向けた燃料供給体制の構築

課題(やるべきこと)

  • 薪製造の実施主体が不在、地域の担い手・体制づくり
  • 土場および薪製造に必要な設備の調達
  • 燃料用材の供給体制づくり
  • 薪ボイラーの運転マニュアルの整備

課題へのアプローチと結果

  • 薪製造の実施主体および設備等の整備(下図)
  • 森林組合に協力を依頼し、燃料用材を調達
  • 薪くべ状況や熱効率を調査し運用方法を提案

今後の展開

  • 薪ボイラーの安定稼働に向けて、薪ボイラーの運用方法の整備、地域住民等からの燃料用材を集める仕組みづくりおよび薪の販路開拓等による採算性の確保に取り組みます。

地域内エコシステム検討状況
(令和3(2021)年度の軌跡)

  • 町が中心となって燃料供給体制の整備に取り組み、木質バイオマスエネルギーの地域循環がスタートしました。
  • しかし、小規模な熱需要であることから、事業性の確保が今後も大きな課題です。
  • 水平展開を見据えつつ、安価な燃料用材の確保および安定した燃料供給に向けて、より一層の関係者らによる連携強化が求められています。

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