木造建築物の耐震性は大丈夫?
鉄筋コンクリートで造られた建物や鉄骨の建物に比べて、木造建築は「地震に弱いのでは?」と思っている方が多いのではないでしょうか。
実は、木造は他の構造物と耐震性能は変わらないだけでなく、耐震性能を向上させることもできるのです。今回はその「木造建築物の意外な耐震性能」についてお伝えします。
※「木を活かした医療施設・福祉施設の手引き」より抜粋
耐震性は構造種別にかかわらず同じである
法的に定められている耐震性能レベルで建てられている建造物は、木造であっても鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造(S造)であっても同等の性質を持っています。
なぜならば、法的に定められた耐震性能レベルというものは構造種別にかかわらず、『同じ基準』で建てられているからです。
建築物の耐震性能は、建築基準法で定められている
木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造など、どのような構造であっても高さが60m以下の建造物には、地震などにより、中程度の(まれに発生する)外力・荷重に対して「建造物の構造耐力上主要な部分に損傷が生じないこと」、最大級の(極めてまれに発生する)外力や荷重に対して「建築物が倒壊・崩壊しないこと」という要求事項が 【建築基準法施行令第83条第1項】に規定されています。
つまり、法的に定めらえれている耐震性能レベルで建てられた建造物であれば、木造であっても、鉄筋コンクリート造であっても、耐震性は変わらない、ということになります。
木造建築物の「さらに耐震性能を向上させる手法」
一般的な木造は「筋かい」や「釘打ちした合板壁」などで地震の揺れに抵抗します。これを耐力壁と呼びます。
実は、木造は比較的重量が小さいため、効率よく耐震性を上げることができるのです。
それに加えて耐震性を上げるための様々な手法があります。
例えば…
- 面材に厚物構造用合板を使い、釘の径と本数を増やすことで耐力壁の耐震性能を向上させることができる。
のような手法で耐震性を上げることができます。
このように、木造の建築物は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造のような他の構造に比べて、耐震性能を上げるためにいろいろな対処法を選択できるのです。
ですから、 法的に定められている耐震性能レベルで建てられている 木造建造物であれば、「耐震性は大丈夫なの?」という心配は無用なうえに、さらなる耐震性も求めることが可能なのです。